人が書けるようになるって難しいものですね。若い頃はどんな物語にしようかばかりを
考えていましたが、それは人が書けないからストーリーに沿って人を動かそうとしていたからです。
はじめに人ありき、人が与えられた世界でどのように動くかが面白みだと思います。
読み手がストーリー至上主義なら、これは余分、あれを強調、などの感想が出てきますが、
自然と人を感じてもらうように書くと、実はすべてが必然として受け入れられるのでしょうね。
かと言って、この、人を書くこと、歳を取ってようやく何のことかが分かってきたのですが、
書けるようになった実感とはいつごろ得られるんでしょうねぇ。
歳を取っても、僕はやっぱり若い人を書いていたいと思います。
児童から結婚前くらいまでの年齢で。
でも、そこは大人目線というバックグランドからにじみ出るものを武器に、です。
大人の現実は自分が存在しているだけに魅力がないですね。
いつまでも学生気分が抜けない大人でいたいです。
泣いてほしいのでも、笑ってほしいのでもなく、三十年遅く生まれた人の感性が目覚めるような
書き物ができれば役割を果たせたと思えるのではないでしょうか。